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学生と大学の心をつなぐ 販売を開始いたしました。

2019/10/27

学生と大学の心をつなぐ 販売を開始いたしました。

学生と大学の心をつなぐ

学生と大学の心をつなぐ

はじめに



厚生労働省の統計によると、2002年に64万にも達していると言われた「ニート」の存在が、深刻な社会問題として取り上げられてから、もうどのくらいの年月が経過したのでしょうか。学校にも行かず、仕事にも就かず、フリーターにもならず家に引きこもっている若者「ニート」は、何の解決もみないまま、今日に至り、今や「引きこもり」として大きな社会問題となっています。



この「ニート」の由来は’Not in Education, Employment or Training’の頭文字(NEET) からきていますが、全国の大学でもその予備軍とおぼしき若者「学生」の存在が見受けられるようになってから、すでに久しくなりました。こうした若者「学生」のおかれている現状の中で、2001年10月、東海大学は松前達郎総長の発案により、全国の大学に先駆けて、「よろず相談所」「なんでも相談所」的な機能を持った総合相談、総合案内窓口としての「学生生活支援室」を立ち上げました。「学生生活支援室」は後に「学生支援課」と改名しますが、私はこの初代室長として、以後、2014年3月に退職するまでこの学生支援に関わってきました。本書はその記録をまとめたものであります。



この冊子は、今の若者「学生」が日々学生生活を送る中で、何を考え、何に悩んでいるのか、学生と言えども社会の一員である「学生」がどのようなトラブルや事件に巻き込まれているのか、また青年期特有の心の問題などには学生自身がどのように向き合っているのか、学生は今日の不透明な日本の社会に対し、どんな夢や未来を描いているのか、将来に失望はしていないのかなど、来室した学生を通して、その姿をつぶさに見てきた記録であります。
開設時は、新しい学生相談のスタイルであったため、学生の利用はどのくらいあるのだろうかと、かなり悩みもしましたが、今や、12年間に12万人以上の学生と保護者とが何らかの形で利用してくれたことに対し、それらの心配は全くの杞憂であったと言っていいでしょう。



それは何故でしょうか。学生は相談する場所や体制がしっかり整ってさえいれば、日常の学生生活の中で迷うことなく、ごく普通に利用してくれるということがわかったからであります。



そして、学生の悩みは、昭和から平成へ、令和の時代になっても、変わりません。むしろ、より深刻となり、暗闇を抱えたまま卒業し、引きこもり状態となって、突発的な事件となって現れます。こうした社会現象をみるにつけ、学生支援との関わりのなかで、何か彼らを引きこもりから救う手立てはなかったのだろうか、そういう思いも、本書を発行する契機の一つとなりました。



今の時代が若者にとって、「自分探し」「自分作り」の大変むずかしい時代であるということを、私達は十分理解しております。そんな時だからこそ、若者「学生」の日常を知り、少しでも引きこもりを作らない上で、何らかのヒントになれば、望外の喜びとするところであります。



令和元年8月25日 曽田 成則




目次



推薦の言葉  筑波大学 大学研究センター 准教授 加藤 毅 ・・・i

はじめに ・・・ii

1.学生支援における職員の専門性 ・・・1

2.薬物汚染から学生を守るために ・・・19

3.学生生活支援室CLICの活動 ・・・27

4.保護者との「大学近況報告会」について ・・・51

5.大学マネジメント講義「学生支援論Ⅰ」 ・・・62

コラム これからは職員も専門家の自覚を ・・・108

6.大学窓口風景 1から37まで ・・・110